オタク女子は動画サブスクサービスに何を求める?~オタク女子とサブスクリクションの利用傾向をAmazonプライム・ビデオ、Netflix、dアニメストアを例に考察してみました~

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少し前まで、アニメや映画をみる手段と言えば、TSUTAYAでビデオを借りる、リアルタイムで番組を視聴する、録画をするといったことが主流でした。今は少し前と違い、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、dアニメストア、YouTubeといった「サブスクリプション」の利用が多くなってきました。各サブスクリプションは配信される内容が異なることがあり、ユーザーは観たい作品によってサブスクリプションを選んでいます。そこで、本記事では、オタク女子のサブスクリプションの利用傾向について、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、dアニメストアを例に考察していきたいと思います。

※この記事での「オタク女子」とは、アニメ、ゲーム、漫画、VTuber、BL作品を好む女性とします。

各サブスクリプションの特徴

各サブスクリプションの特徴について簡単に説明したいと思います。表1は各サブスクリプションの基本的な情報です。Amazonプライム・ビデオの特徴は、安く幅広い作品を視聴できることや最新アニメの配信が多く、オンエアが早いことが挙げられます。Netflixの特徴は、比較的高価で、多くのオリジナル作品やドラマが配信されていることが挙げられます。dアニメストアは、安価でかなり多くのアニメを視聴できます。

表1 各サブスクリプションの基本的な情報

Amazonプライム・ビデオNetflixdアニメストア
アニメ作品本数(本)8006005,700
月額料金(円)600(300)1490550
同時視聴(台)341
OPスキップ
倍速再生不可

※出典: エンターミート(株式会社ドリーム・トレイン・インターネット運営)

各サブスクリプションとオタク女子

<Amazonプライム・ビデオは最新アニメのチェックが可能、更にAmazonプライム会員の特典も>

Amazonプライム・ビデオは、ビデオだけでなく多くの特典と費用の安さから費用対効果が高く、アマゾンユーザー全体と相性が良いと考えられます。実際に、モバイル社会研究所の調査によると、Amazonプライム・ビデオの利用率は他二つより高いという結果が出ています。

次に、オタク女子の利用傾向に着目して考察していきたいと思います。Amazonプライム・ビデオは比較的安価で、最新アニメが多い点、同時視聴が3台できる点、多くのAmazonプライム会員の特典から、オタク女子にとって比較的使いやすいのではないかと考察します。オタク女子は、家族と一緒にオタ活していることもめずらしくないため、同時視聴の多さは相性の良さに繋がると考えられます。更に、身近に店が無く、テレビのチャンネルが少ない地方のオタク女子は最新アニメをチェックできる、配送料無料などの恩恵をより多く受けると考察できます。また、最新アニメをいち早くチェックできる利点はこれだけではなく、トレンドが目まぐるしく変わる現代のオタク女子にはとても大きなメリットです。

OPスキップの可否については、オタク女子にとってはそれほど大きな問題ではないと考えます。彼女らは、OP、ED、Cパート(エンディングの後の本編ではないアニメのパート)も含めて楽しむ傾向にあります。実際にX(旧Twitter)ではエンドカード(アニメの最後に映されるイラスト)を乗せて感想を述べているオタク女子は多く見られます。エンドカードでのキャラ同士の絡みを公式からの供給としてしているオタク女子は、少なくありません。

これらをまとめると、Amazonプライム・ビデオは環境や年齢に関係なくあらゆるオタク女子に向いていると言えるでしょう

補足(アニメの構成例)

OP→Aパート(本編)→Bパート(本編)→ED→Cパート→エンドカード

<Netflixは韓国ドラマが強いが料金が高め>

Netflixは比較的料金が高く、ドラマの豊富さとオリジナル作品に強みがあります。オリジナル作品とは、Netflixでしか配信されない韓国ドラマやハリウッド映画、アニメのことです。特に韓国ドラマのイメージが強いです。逆にアニメ制作は減少傾向にあり、どちらかというとアニメは、日本人のオタク女子に好まれるものは多くありません。2024年配信のNetflixのアニメ作品で、オタク女子が視聴すると思われる作品(『僕のヒーローアカデミア』、『黒執事』、『忘却バッテリー』等)はAmazonプライム・ビデオでも配信されています。また、Netflixは、 Amazonプライム・ビデオと違い、完全にサービスがサブスクリプションのみなので彼女らには大きな魅力はないと考察します

<dアニメストアはアニメの配信数が多く2.5次元舞台も配信されている>

dアニメストアとは、NTTドコモの関連サービスであり、ドコモユーザーでないau・ソフトバンクユーザーでも使えます。

dアニメストアはアニメの配信数が群を抜いて多いのが特徴です。少年誌、BL、アイドルアニメ、女児向けアニメ等オタク女子の好きな作品は基本的に何でも観られます。アニメをたくさん視聴したいオタク女子はdアニメストアが最もコストパフォーマンスがいいでしょう。

また、オタク女子としては見逃せないポイントは、2.5次元舞台やアニソンライブが視聴できる点ではないでしょうか。2.5次元舞台とは、ゲームやアニメを原作としたミュージカル・演劇のことです。代表的なものだと、『刀剣乱舞』、『ヘタリア』、『テニスの王子様』があります。原作ファン、俳優ファン、舞台ファンなど様々な層を巻き込んで、市場は大きな盛り上がりを見せています。実際に、刀剣乱舞の舞台に元宝塚歌劇団のキャストが演じたことで刀剣乱舞ファン、宝塚ファン双方で大きな話題になりました。

dアニメストアはオタク女子をはじめたオタクを中心に更に登録者は増えるでしょう。

BLアニメの配信数

最後に、2024年のBLアニメの配信数に着目していきたいと思います。WEBメディアのちるちる(株式会社サンディアス)によると2024年のBLアニメは『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、劇場アニメ『ギヴン 柊mix』、『ただいま、おかえり』、『当て馬キャラのくせして、スパダリ王子に寵愛されています。』、『黄昏アウトフォーカス』、劇場アニメ『ギヴン 海へ』が挙げられます。

各作品と2024年6月23日時点での見放題の視聴の可否を表2にまとめました。

表2 各作品と2024年6月23日時点での見放題の視聴の可否

Amazonプライム・ビデオNetflixdアニメストア
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい
ギヴン 柊mix不可不可不可
ただいま、おかえりレンタル可不可レンタル可
当て馬キャラのくせして、スパダリ王子に寵愛されています。3話まで不可
黄昏アウトフォーカス未公開未公開未公開
ギヴン 海へ未公開未公開未公開

dアニメストアが比較的多く視聴できることが分かります。BLアニメに着目しても、オタク女子にとってdアニメストアは需要があると考察します。

※参考:ちるちる(株式会社サンディアス運営)

総括

Amazonプライム・ビデオは多種多様な特典と安価な価格設定により、総合的に利用しやすい傾向にありますが、オタク女子にとって魅力的なコンテンツを多く含むdアニメストアはこれから伸びていくのではないかと考えます

Netflixはどちらかというと、海外IP作品に強いイメージも否定できず、それらのイメージから、Netflixの契約にメリットを見いだしづらいと考えているオタク女子もいる可能性が高いです。

そのため、Amazonプライム会員になれば、Amazonプライム・ビデオだけでなく、Amazonの「お急ぎ便」などを利用できることも踏まえ、Amazonプライム・ビデオを利用している層もいるはずです。

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